リモート打ち合わせ

突然届く営業メールへの違和感

最近、当社にも新規のお取引を希望される企業から、さまざまな営業メールが届きます。特にベンチャー企業を中心に増えているのが、初めてのメールにもかかわらず、いきなりZoomなどでのオンライン打ち合わせを提案してくるケースです。自社の商品やサービスについて簡単な説明があり、「一度オンラインでお話しする機会をいただけませんか」と続き、候補日時まで2~3記載されている。こちらが興味を持っているかも分からない段階で、すでに商談を前提に話が進められているのです。もちろん、リモート打ち合わせそのものを否定するつもりはありません。一方、一度もお会いしたことがなく、信頼関係も築けていない相手に、最初からオンラインでの面談を求めることに、私は違和感を覚えます。おそらく、多くの会社に同じようなメールを送り、何社かが反応すればよいという「下手な鉄砲も数打てば当たる」という発想なのでしょう。そうした姿勢が見えてしまうと、どんなに優れた商品やサービスでも、積極的に話を聞こうという気持ちにはなれません。

効率よりも大切な信頼関係

一方で、すでにお取引があり、信頼関係が築けているお客様との打ち合わせであれば、リモートは非常に有効な手段です。移動時間を省き、限られた時間を有効に活用できるため、当社でも必要に応じて利用しています。しかし、新規のお客様に当社から営業を行う場合は、基本的に必ず直接お伺いするようにしています。もちろん、お客様からリモートをご希望いただいた場合は対応しますが、実際には新規のお客様の99%と言ってもよいほど、直接お会いすることを希望されます。初めて取引をする相手に対して、お客様が知りたいのは商品やサービスの内容だけではありません。どのような会社で、どのような考え方で仕事をしているのか、そして何より信頼できる相手なのか。そうしたことは、実際に顔を合わせ、言葉を交わす中で伝わる部分が大きいと考えています。移動時間も交通費もかかりますが、それは信頼関係を築くために必要な時間であり、決して無駄なコストではないはずです。

商売の基本は、まず相手の立場に立つこと

リモート打ち合わせ

私は、営業とは単に商品やサービスを売り込むことではなく、まず相手に信頼していただくことから始まるものだと考えています。どんなに素晴らしい商品やサービスでも、それを必要としているかどうかを判断するのはお客様です。相手の事情や関心を理解しないまま、一方的にメールを送り、自分たちの都合のよい日時を提示してオンラインで話を聞いてほしいというのは、あまりにも売り手側の効率を優先した営業活動ではないでしょうか。特にベンチャー企業の皆さんには、便利なツールを使いこなすことと、お客様との信頼関係を築くことは、まったく別の話だと理解していただきたいと思います。時代とともに営業の手法が変化することは当然ですが、どれほどデジタル化が進んでも、商売の基本にあるのは人と人とのつながりであり、相手の立場に立って考える姿勢です。効率を追い求めるあまり、商売で最も大切なものを見失ってはいけません。当社と新たにお取引をしたいとお考えの企業の皆さんには、まずはきちんとアポイントを取って、直接足を運んでいただきたい。そこから始まるご縁こそが、長く続く良いお取引につながるのではないかと、私は思っています。

代表取締役 藤岡 秀和