適材適所

代表取締役 藤岡 秀和

●人事異動
 3月は人事異動の季節。当社は配置換えするほどの人数ではないため実際の経験はありませんが、多くの社員を抱える会社では約半期ごとに人事異動が行なわれています。配置転換、勤務地変更、昇格、降格など、数ヶ月前から役員で協議を繰り返し、各部署の状況に応じた人員を再構築しています。これはある程度の規模の企業にとってはごく当たり前のことですが、ここ数年グループ会社でその協議に立ちあう中で気づいたことがあります。
 一般的には再配置をするにあたりできる限り現状の組織をくずさないようにしながら行ないますが、それでは大きな改善にならないということです。
 もちろん専門職や技術担当等、簡単に異動出来ない部署もありますが、その影響が少ない部署は、組織図を一度真っ白にして一から配置してみると思った以上に力を発揮できる組織ができることがあります。

●青年会議所の単年度制の組織
 私が卒業した厚木青年会議所をはじめ、全国の青年会議所は単年度制の組織であり、毎年理事長(企業で言えば社長)が変わり、また委員長(企業の部課長)も変わります。私自身も2004年に理事長をさせていただきましたが、当時約120名のメンバーの中から、自らが掲げる事業計画を遂行するにあたり、誰に託せば目標達成できるかを考え配置をしました。これは私だけでなく、毎年その年の理事長が最善だと思う人材、いわゆる適材適所にメンバーを配置します。

●企業も勇気を持って
 その体験をしている青年会議所の理事長経験者でも、会社の組織を再構築する時には思い切った決断ができません。それはやはり営利目的の企業と非営利の組織との差で、企業では失敗を恐れる気持ちが優先して思い切った改革ができないというのが実情であります。
 しかし、実は営利企業も非営利組織も行動や結果を出すという切り口においては同じで、非営利組織は衰退や倒産という不安感がないために思い切った組織運営ができるのであります。まさしく床に敷いた10センチ幅の線の上ははみ出さずに何の不安もなく歩けますが、ビルの屋上の10センチ幅の淵は歩けないのと一緒のような気がします。
 そんな想いから昨年の秋にグループ会社(約スタッフ100名)で思い切った人事異動をしました。当初は戸惑いや不安もありましたが、現在はまさしく適材適所での力を発揮し、素晴らしい結果が出ています。
 身近でそんな姿を見て、私自身も理事長経験者として自社の組織を改革する時には真っ白なキャンバスに託したい想い(人材)を描こうと思います。