インボイス制度
2023年10月より開始されるインボイス制度は、所定の要件を満たした請求書=インボイスの発行で消費税の仕入額控除を受けることが可能になり、課税事業者は登録番号を取得し請求書や領収証にその表記等をしなくてはなりません。一方、免税事業者は従来のように消費税をお客様に請求することができなくなりますので、実質的に利益が10%減ることになります。本来お客様から預かった消費税を利益として計算していること自体が間違いではありますが、売上の少ない免税事業者を支援するということではある意味価値はありました。
制度導入後は
しかし、今回のインボイス制度の導入後は課税事業者への支払いでないと仕入額控除を受けることができないため、免税事業者との取引を控える企業が出てくることが予測されます。そうなると売上の少ない企業や個人事業主には、今までプラスαの支援として支払わなくてよかった消費税分がなくなると同時に、売上自体も減少してしまうといった現象が起きることが予測されます。コロナ禍によりテレワークが進み、労働環境の変化により副業を許可する企業も出てきている中で、こうした制度は相反することが生じているような気がします。さらに言えば、インボイス制度をしっかり運用するため、免税事業者に対して、消費税の請求をしないでほしいという通達をする際、言い方によっては下請法に抵触する可能性があり、見る角度によっては矛盾が生じています。
数多くの矛盾
インボイス制度に感じる矛盾だけではなく、世の中には一般的に見たときに感じる矛盾が数多くあります。例えば、個人と法人の区別。当然ではありますが税法上では別人格として扱われ、企業とその代表者である個人は全く切り離して考えなくてはなりません。もちろんこれに対し全く異論はありませんが、コロナ感染拡大の当初に法人に家賃補助をするという制度がありました。しかしその該当条件は、会社の代表者と家主が同一では補助しないといった内容で、家主が借金をして会社の土地や建物を購入していた場合でも「同じ人物なら追い出さないであろう」というのが見解で、会社の代表者=家主ともに苦しい状況にもかかわらず、こういう時は別人格ではなく同一人格として扱われます。まさに矛盾を感じます。そのほかにも挙げればきりがないほど世の中の仕組みには矛盾が多く、いつしかこの矛盾が大きなトラブルにならないことを願うばかりです。