コロナ禍を利用した新手のセールス

仕事を依頼するような1本の電話

先日(1月中旬頃)、「藤岡社長をお願いします」と名指しで1本の電話がありました。たまたま事務所にいたため電話をかわると、全国の市町村(行政)に向けた人材派遣や業務オペレーションを提供しており、プロポーザル提案を行政に対していくつもしているとのことで、その中の業務に印刷業務があるため、その業務を手伝って欲しいという内容のものでした。一聴すると仕事を頂けるという依頼の電話に聞こえるため、詳しく話を聞いてみました。

アプローチからクロージングまで次から次へと

内容を詳しく聞いてみると、「印刷関連業務は今まで扱ったことがないため、ぜひお力を貸して欲しい。つきましては、担当の営業から連絡をさせるので、一度詳しい話を聞いて欲しい」という内容の所謂アポイント専門担当からのファーストアプローチでした。コロナ禍により売上が減少している現状からすると喉から手が出るような話しではあったものの、なぜ東京のそれなりの規模の会社が、厚木の小さな会社にアプローチをしてくるのかに興味があったため、先方の言う通り事を進めることにしました。その電話を切って1時間もしないうちに担当営業マンから連絡があり、早速オンラインでのミーティングの日時を決め当日を迎えました。

架空の人参をぶら下げて

コロナ禍を利用した新手のセールス

内容は電話の通り印刷物の業務を請け負って欲しいというものでした。具体的には3月より全国の各市町村でコロナのワクチン接種が始まるため、その関連の印刷物を請け負って欲しいので、仕様書を送るので見積りが欲しいとのこと。そこで私は疑問であった「何故東京の会社が厚木の小さなデザイン会社に・・・」ということを率直に聞いてみました。すると、納期が短いのと、仕様書が今の段階では不確かなことが多く、様々な会社に依頼をしているが皆対応できないという回答なので困って電話をしたとのこと。さらにこれを機会に協業して共に成長したいという内容でした。取り急ぎ仕様書を送ってもらい内容を確認したところ、仕様書としての体裁をなしておらず、見積りが全くできないような内容のものでした。しかし、その回答はまた別な担当者にして欲しいと言われていたため、当社も見積りの辞退を申し上げたところ、今度はその担当からの回答は「見積りの件は承知しました。つきましては、協業の件で専門担当から連絡をさせますので宜しくお願いします」。ようやくここで全容が見えました。要は仕事を出したいという人参をぶら下げ、初めから仕様書や納期のせいにして見積りできないような内容を提示し、辞退した途端に自社のセールスを行ってくるといった新手なセールス。しかも一度話した相手は二度とセールススキームには登場せず、次から次へと専門と言われる担当が出現してきます。要するにこの会社は人材派遣をしているので、当社のお客様に紹介をして欲しいのが主旨であったようですが、こんなやり方をする会社には大切なお客様を紹介できないため、この時点でお断りをしました。最近様々なセールス電話がかかってきますが、仕事を出すふりをここまで長引かせ、こちらが「お役に立てずに申し訳ない」といった感情になった時を見計らって営業をしかけてくるパターンは初めてでした。合法ですので構いませんが、私はやはりしっかりとお互いを信頼し、(次から次へと人が変わらない)顔が見えるお付き合いをしたいと思っております。