●デザイン編集を自社で
当社の業務の中に印刷関連業務があります。印刷関連業務に関しては大きく分けて制作(デザイン編集)と印刷業務が存在し、当社ではグラフィックデザイナーを配置し、社内でデザイン編集業務を行っております。以前は印刷をするためにはデザイン専用ソフト(Illustrator、Photoshop、InDesign等)で制作したデータでなければ印刷機が対応しなかったため、印刷物を制作する場合デザイン編集からご依頼をいただいておりましたが、最近ではMicrosoft社のWordやExcelで編集したデータでも印刷機が対応し始めてきているため、自社で編集作業をし印刷だけを依頼されるケースがございます。
しかし、そのデザインはプロのデザイナーが制作したものとは程遠く、しかもどれくらい時間を費やしたかを尋ねると、印刷物の仕様によって異なりますが、平均A4サイズ片面でおよそ1日~2日程度かかっていることが判明しました。
●素人に素人の仕事をさせない
自社でデザイン編集を行うとプロに依頼する費用がかからなくなるため、一見経費節減とも考えられますが、実はそこには見えない人件費がかかっていることをすっかり見落としています。自社でデザイン編集を行った方の給与が仮に月収30万円だとすると、一般的に企業はその人に約1.5倍の45万円位の費用がかかっていると言われております。そのため週休2日で計算すると月平均約22日、年末年始や夏季休暇を含めると約20日の労働になり、45万円を20日で割ると1日だと22,500円、2日で45,000円の費用を企業は支払っていることになり、しかも成果物の出来にはプロが制作したものと比べると比較にならないほどの差があり、企業側のメリットはほとんど無いのが現実です。 実はそれを私にしっかりと認識させてくれたのはお客様で、先日そのお客様(社長様)とお食事をした際、上記の見えない経費の話をしてくれました。その社長様に「当社は
素人に素人の仕事をさせない。自社の社員にはプロとしての時間を費やして欲しい。我社では印刷関連のデザイン編集は社員にはやらせないので、今後はコンパスにお願いしたい」と言っていただきました。
年賀状など手作り感が温かみと感じられるようなものは別ですが、仕事の印刷物はデザインのクオリティと見えない人件費等の費用対効果を考えると、プロに依頼した方がむしろ安いくらいではないかと感じます。
●改めて業務を見直す
今から17年くらい前のまだ私が駆け出しの頃、当時の顧問税理士に同様のことを言われたことを思い出しました。当時何か申請(登録)をしなくてはならない事案があり、少しでも経費をかけないようにと思い、自分で必要書類を用意したり申請に行ったりしようにと思っておりました。その際、税理士に不明な点を尋ねたところ、「社長は社長としての仕事をした方が良いです!これは行政書士に依頼すれば数万円で済むことです。自分の給与を考えて(見えない人件費がかかっていることを考えて)、社長なら会社を成長させるための仕事をしてください」とう助言を頂きました。
意味としては全く同じことで、もし私がそれを行ったとしたら2日間程度費やしますので、その2日を営業の時間に充当すれば何倍もの利益を生み出すことができます。私たちのような中小企業は、現実問題として全てそのような考え方で判断し、各種のプロに依頼することは費用的に難しいこともあります。しかし、今回改めてお客様から認識させていただいた見えない人件費の件に加え、当時税理士から教えていただいたことを思い出し、現在当社では私をはじめスタッフが効果の低い仕事をしていないか?ということを改めて見直し考える良い機会となりました。